最近個人投資家の間で話題の株があります。
東証マザーズ上場の創薬ベンチャー「サンバイオ」です。
先週まで1株1万2000円を超えていたのですが、その後急落。
ストップ安が4日続いて、現在2000円代になっています。
基本的に機関投資家は赤字企業には投資しませんから、多くの個人投資家が
損失を被っていると想像できます。
なぜここまで急落してしまったのか?
・新薬の開発が不発
ストップ安の発端になったのが、開発中の新薬の試験がうまくいかなかったことです。
「SB623」という慢性期脳梗塞の薬で、これまで世の中にない薬を開発していました。
1次試験がうまくいっていて、株価は急上昇していたのですが、
2次試験で失敗だったということです。
ちなみに新薬の試験はこのあと、3次、4次、と続きますので、
まだまだゴールにはほど遠い状況です。
同社は1月29日、再生細胞医薬「SB623」の慢性期脳梗塞を対象とした治験で「主要項目を達成できなかった」と発表。外傷性脳損傷以外の開発計画を見直すことも明らかにした。同社株はSB623への期待感を支えに昨年11月初めの3600円台からわずか3カ月間で一時1万2000円を超える水準まで買い進まれただけに、治験失敗のニュースが伝わるとマーケットでは処分売り一辺倒となった。(ブルームバーグより)
・「SB623」一本足打法・・・
このサンバイオ、基本はこのSB623が開発されることを前提に
ビジネスが進んでいました。
つまり、今回このSB623の開発に失敗となれば、
これまでの投資は全て水の泡と言うことになります。
会社は慢性期脳梗塞の分野は失敗したものの、
外傷性能損傷の分野は引き続き開発するとしていますが、
ビジネスの根底がひっくり返ってしまったと言っても過言ではありません。
ちなみに会社側はこのように説明しています。
サンバイオグループと大日本住友製薬株式会社が進める米国での再生細胞医薬品「SB623」慢性期脳梗塞プログラムフェーズ 2b 臨床試験について、主要評価項目を達成できなかったという解析結果を確認しました。
これを受けて、今後の当社グループの事業の進め方を見直します。
まず、「SB623」慢性期外傷性脳損傷プログラムについては、第2相試験(STEMTRA 試験)において、良好な結果を得ているため、引き続き本開発を進め最速で国内承認を狙います。次に、その他の疾患については、開発の方法及び期間並びにこれらに必要な資金の見直しを行っていきます。
遅くとも本年3月下旬に予定している 2019 年1月期決算の説明会までには、見直した 2020 年1月期以降の開発及び事業計画についてお知らせする予定です。(サンバイオIRより)
サンバイオは同時にQ&Aも公表しているのですが、それもなんだか悲壮感が漂っています。
参考)2019年1月29日付プレスリリース「再生細胞医薬品「SB623」慢性期脳梗塞を対象にした米国でのフェーズ 2b 臨床試験の解析結果の速報について」に関するQ&A(148KB)
・サンバイオは私たちに語りかけます・・・
バイオ関連は個人投資家に人気の分野ですが、
薬がきちんとできなければリターンはゼロになります。
よくバイオに全部資金をつぎ込んでいる人もいますが、ハイリスクすぎます。
投資の基本は集中投資ではなく分散投資です。
その基本に立ち返る大切さをサンバイオは私たちに教えてくれたのでした。